TOPEXHIBITION代官山の、吠える動物園
2023.03.17 (Fri) - 2023.05.07 (Sun)
EXHIBITIONS
代官山の、吠える動物園
マリーナ・ル・ギャル
ギャラリー「のこぎり」(東京都渋谷区)はフランスのアーチスト、マリーナ・ル・ギャルの日本初個展「代官山の、吠える動物園」を開催する。また個展に先立ち、同アーチストの作品をArt Fair Tokyo(2023/3/10-3/12)の「のこぎり」ブース(番号:S016)にて出展する。
マリーナはフランス西端部に位置するブルターニュの農家に生まれ、幼少期を動物にまみれるように過ごした。父の狩猟に同行し、死にゆく動物たちを記録することから、彼女の野生の記録は始まり、それはそのまま野生を媒体として、語り得ないものを語ろうとする彼女の創作活動へとつながっていく。

Marina Le Gall (マリーナ・ル・ギャル)
1986年、フランスのブルターニュ地方カンペールレ生まれ
食べるために動物を切り刻んでいる私たちが、動物の作品を作り、動物の作品を見るということは、これまで切り刻んできたものを再びつなぎ合わせようと試みることだ。それは生命と運命をリバースすることだ。幼少時に父親の狩りに同行し、死にゆく動物を描き続けたマリーナが、言語化できない体験をしたことは想像に難くない。ついさっきまで自由に飛び、走り、生命そのものを生きていた動物が、銃に撃たれて目の前で死につつある。生まれたばかりの子供だろうが、まだ子育てが残っている親だろうが、皆、死ぬのだ。そしてその死に私も加担している。しかし、私だって死ぬ。私に対する銃弾は、私が生まれた瞬間に、とっくに放たれてしまった。この目の前で死ぬつつある生命のように、私もすでに死につつある生命なのだ。まず、彼らが死ぬ。私が生きるために。そして次に、私が死ぬのだ。きっと誰かが生きるために。
人間は出産も死も、覆い隠すことによって、恐怖と不可解のない平穏な社会を作り出している。しかし生きるということには、血の匂いがつきもので、生命のサイクルの一部となって死ぬことは、サイクルを全うするために殺すことと同義なのだ。死だけが、幻想ではなく、嘘もつかず、ユーモアを抱えて確実にやってくる。そして私の死と、誰かの死の間につかの間の生を生む。
マリーナの動物は、よく吠えて、よく泣く。よく笑い、よくしゃべり、よく歌う。これは、内臓のような、友人のような作品展だ。
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